夏前だった。腹這いになって、姪っ子に足踏み式按摩をさせていたら、こともあろうに、はしゃいでジャンプを始めた。背中に衝撃が走ったが、後の祭りである。
これに端を発してかどうか、しばらくして激痛を推して仕事に行き、どのように動けば痛みがでないか工夫を凝らす毎日となった。くしゃみをするのが恐ろしいという有り様。非常に疲れ、歩くこともままならない。運動をする気も起きない。身体を暖めて横になる以外、仕様がない。横になっていても痛む。
整形外科医院でも働いているので、レントゲン写真を撮ってもらった。第4,5腰椎が骨盤に対して前方に変位している。上司であるドクターによると、このぐらいの年齢ではこういう状態はありがちでこの程度ならすべり症と病名をつけるまでもないということだ。好きな物理療法の機械があればどうぞ、と言われ、看護士さんがお薬どうしますかと聞くのを丁重にお断りした。
セラピストとして仕事をしているので、身体が痛むと有り難いと思うことにしている。自分の身体を通して師匠も独自のメソッドを開発している。
運動療法で何とかするしかない。腸腰筋を鍛える事が、この場合基本である。しかしながら、痛む間は積極的な運動は無理で、痛みを出さずに、動き歩く事が最重要課題となる。
ここで、胸の中心、ハートの在処から脚を振り出すウォーキングが役に立つ。脊柱を通してのひねりの動きが、衝撃を吸収してくれる。
さらに、腹腔のテンションを上げておく。横隔膜以下のお腹の空洞を膨らませておくイメージだ。ずれている背骨を内側から押し戻す程の気持ちでいる。実際に、背骨の突起に手で触れてみると動きがよくわかる。
お腹周りの緊張が緩んでいると、衝撃が腰にくる。全身のパーツをつなぎ止める筋肉の活動を僅かに上げておく=ウォーミングアップした状態を保つ。
この間、船底下駄を履いていた。下駄は、歩き方に繊細になれる。スニーカーシューズは、どのようにしても歩けるので、歩き方に意識を払わなくなリがちである。
こうやっていると、取りあえず動き歩ける。しかし痛みは依然としてあるし、消耗してくたびれる。昼は仕事をし夜は死んだように眠る。この痛みが和らいできたのが、夏の終わりである。何か回復の兆しというのを感じる。
壊れた組織の修復には時間が必要だ。そして自己回復力を高めること。自然に自分で治ると、身体との信頼関係が増す。痛みを薬などで感じなくしてはこうはいかない。
アロマや温泉、砂浴、サウナにはずいぶん助けられた。優しい友人がいて、オイルのボトルをプレゼントしてくれた。
そして、ハンモックで眠る。痛み無くよく眠れる。ハンモック効果については別の稿に書いた。ちょうど夏期休暇を3週間取っていたのもよかった。休むのが良い。通勤と仕事場の冷房から逃れられる。冷房はてきめん不調に陥る
痛みが和らいでくると、運動ができるようになる。このタイミングで鍛え始める。海水浴は、痛みと相談しつつ早い時期からできる。背骨のひねりを意識したバタ足や身体を大きくうねらせて泳いでみる。全身のパーツをつなぎ止める筋肉が活性化され、身体が軽くなる。
久しぶりに始めたタップダンスは、吊り上げた体幹の下で脚部の巧緻な運動を行うので、脊柱を支えつつ微細な動きを可能にするよい練習になる。
最後に生活編…駅でのダッシュや階段駈け登り降りなどは問題なくできる。じっと立っているとか座っているときの方が辛い。足を横に開いて立つのは控え、前後やハスに開いて構えるのが腰に優しい。いすやソファーを控えて、畳や床に座り込んで座り方をこまめに変える。螺旋の動きを使って、パワーや反動は使わない。立ち居振る舞いに痛みをださないように常に研究を怠らない。四つ這いが腰を守りつつ楽にできる。
食事は消化吸収にエネルギーを費やす物は控える。お腹の調子が背中の調子として現れる。粗食で咀嚼。
どれだけ回復するか乞うご期待!