自然療法としての砂浴初体験は、20年ほど前に伊豆半島の先端に近い弓ヶ浜での研修会だった。温泉のでる民宿に泊まり、夜は同宿の人と楽健法の手ほどきを受けて、砂浴上がりの身体を踏んづけあった。体の芯からずいぶんと気持ちのよい思いをした。
朝の10時過ぎから砂に入って、ウトウトし目を覚ましてまた昏々と眠って、砂から這い出たのは16時過ぎていた。8時間というのは初回で自己最長記録。気持ちよく深い眠りに墜ちるたびに、身体の奥底から凝り固まった疲れや諸々が溶けて流れ出てくるようだった。青い空と海を眺めていると心地よい疲労感がやってきて、いくらでも眠れた。疲労回復には若さやパワーや体力がいるから、最近はそんなに長時間は砂にはいっていない。
綺麗な乾いた砂がたっぷりある所に穴を掘り、中の砂が適度に湿り気を帯び冷たくも暑くもない位がちょうどよい。掛け布団のように砂を首まで被せるが、人によって厚さを調節する。私はお腹も胸もずっしりと厚くかける。
しばらくすると、ドクドクと体中の血液が勢いよく巡り出すような感じがしてくる。場所によってはムズムズ、チクチクするようなときもある。時によっては、微細な虫だったりする。そんなことはお構いなしで寝ていると、ダクダクと汗が流れ出す。オシッコも構わずしてしまう。全てを砂が受け取ってくれる。
できれば何も肌につけない方が断然気持ちがよい。綿の水着や下着という人もいるが、私はパレオなど布を巻き付けて、足から砂に埋まりながら徐々にはずし、首まで埋まったときにはスッポンポン。砂からでるときは、逆に肩から布を羽織って徐々に身体を覆えばよい。
砂を払いながら身体を観察すると、余分な水分がすっかり絞られて、足がほっそりしている。肌がすべすべになっている。体の凝りや痛みなど消えてなくなり、体が信じがたい軽やかさになる。翌日のお通じが爽やかになる。
不調や病を排出するのに強力な効果があり、健康でも年に一度は身体をリセットする意味で続けている。