<あらすじ>
さすらいのシングルマザー浦島クマ、今季は冬眠せずに電車通勤などしている。インフルエンザというものは、集団心理に振り回されなければ罹らないらしい。マスクはせずに口を閉じて唾液の分泌を促し、意味が不明の車内のブラインドを挙げて、日向ぼっこに努めている。
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カミオーカの暮らしで尋常な野生を保つには、創意工夫が要る。毎日のように電車に乗らないと仕事にならないから、身体がすっかり弱くなった気がする。けれど、長時間も空調の効いた密室にいても咳やくしゃみが出なくなり、ずいぶん強くなったものだと気づいた。このように生き物は順応するのだが、こうなるまでに2年半も費やしている。
外出から帰ると、水で手と足を洗う。帯電した身体を水で流すとさっぱりとする。できるだけ浜や森を素足で歩いてアーシングする。夏は下駄履きで、海水浴をよくするからまだよい。冬場は朝、洗面器で数回水をかぶる。秋まで海水浴をするので、何とかできる。どうしてもやりたくない時は、かなり熱目のシャワーをかぶり身体が火照ってから水にする。体表に温度差ができることで、一気に循環がよくなる。別に、身体を冷やしたいわけではない。だから、弱っているときにはやらない。
天気のよいときは外で過ごす。お弁当を食べるのも、踊るときも外である。まっすぐ前を向いて歩くことは少ない。後ろ向きのままとかクルクル回りながら、夜道を帰る。スタジオに通わなくてもレッスンができる。行く先によりヒールを選ぶ。思い切り腰を振って歩くと身体の調整にもなる。ウマが歩く姿を後ろから観察すると、高いヒズメで小気味よくお尻を振っているが、4つ足という違いはあっても参考になる。
仕事場に着いたら、気楽にして白湯など飲んでいる。決まりをきちんとできないので、叱られるが、そんな事でくよくよしてはいけない。自然界の掟を守らない方がよっぽど恐ろしい。ビジネスワールドが野生を曇らせているような気がしてならない。嫌になったら止めるとか、自分の身を守るとかが、仕事に対する時でも大切な在り方なのだ。
野性とは、空を仰ぎ、風を訊いて、潮を視て、波に戯れ、野に遊び、太陽に包まれる、そして自身と対話する感性のことを呼んでいる。