クマは2カ所のオフィシャルワークと、合間に本来のプライベートの仕事で家計を支えている。帰国してから季節が二巡し、冷房と空調が恐ろしい夏が近づいてきた。クマは夏の申し子のように、手足を出して日を浴びて、朝夕と海に飛び込むのが大好きなのだ。閉め切った屋内で冷風を浴びて、何かよいことがあるのだろうか?娘のドラも猛獣学校の過激な冷房に参っている。母子共に慣れない。
そういえば、最近スーパーマーケットのやかましい放送とBGMの中で買い物ができるようになってきた。カミオーカ駅前の雑踏の中で看板や広告に目を向けることもできる。過剰な情報の中で、要らないものを意識から締め出して、選択的に注意を向ける。騒音と広告に慣れてきた。慣れてきたということは、刺激に反応しなくなることだが、情報処理はしている。日本で都会の街に暮らすと、大変な情報量を毎日処理しているのだ。道理でくたびれるはずだ。
季節はちょうど砂浴に適している。砂に埋まりたいとクマは切実に思った。砂に埋もれてトロトロとうたた寝する気持ちよさといったら、他に見当たらない。要らないものが溶けて流れ出ていくような感じなのだ。人気のないビーチが最高だが、このあたりでは無理と言うものだ。生活圏から遠くない海辺で砂に埋まりに行く。
今日は、海辺の街の高台に住むツルカメ夫妻を訪ねた。例によって、ホタテだ金目鯛だと、ご馳走づくめに拍車がかかっている。こんなに毎日のようにご馳走を食べて大丈夫なのだろうか?情報量が多過ぎやしないだろうか? そうか、それで朝昼は抜いているのだ。